2輪車の動きについて考える(2)

今回は、前に書いた、”2輪車の動きについて考える”の中で、加速時と減速時の駆動輪の動きについての質問が多かったので、その辺について補足します。

1.旋回中の駆動輪の動きについて

旋回中での駆動輪は、若干外側にスライドするような軌道をとっています。

これは、いわゆる「ドリフト」とは異なります。(スライド量を意識的にコントロールすることで近い動きとなりますが)
よほどの低速走行でない限り、旋回中には何もしなくても自然にスライドするように動いていると考えて下さい。

そのスライド量は、速度と加速度に応じて変化しますが、スライドしていることを操縦者が体感的にわからない(気にならない)状態が、「タイヤがグリップしている」という状態と思ってよいでしょう。

 

2.速度を変化させた場合

一般的に、速度を上げた場合にスライド量が大きくなり、下げれば小さくなります。

 

3.加速度を変化させた場合

一般的に、スライド量は、加速度が大きい場合には大きく、小さい場合には小さくなります。

ただし、見落としてはいけないのは最後に「度」がついているところ。つまり、加速時も減速時もどちらもというところに注意が必要です。
つまり、急なアクセル操作(ON/OFF問わず)により、スライド量の変化は大きくなる とでもイメージしてもらえればわかりやすいでしょうか。

 

4.荷重を変化させた場合

一般的に、荷重を増やした場合はスライド量が小さくなり、減らした場合はスライド量が大きくなります。

ただ、タイヤのグリップ力を越えている場合にはこれとは逆で、荷重を増やした場合はスライド量が大きくなり、減らした場合はスライド量が小さくなります。

 

5.路面のμ(摩擦係数)が変化した場合

路面のμ(摩擦係数)が変化した場合、同じ操作を行った場合を比較すると、μが低ければスライド量は大きく、高ければスライド量は小さくなります。
μの変化の要因には、雨、雪、舗装の素材などの、路面の状態が主なのですが、意図的に実質的なμを変化させる原因の一つとしては、”タイヤの空転”があります。タイヤ空転した(させた)場合には、路面との速度差が大きいほどμは下がります。

 

6.タイヤのグリップの限界を超えた場合

タイヤのグリップしている状態 については、先に書きましたが、もしその限界を超えるようなことがあったらどうなるでしょうか。

これは、皆さんもお分かりのとおり、スライド量が増し、最悪の場合はコントロール不可で転倒…となります。
スライドする速度は、状態の変化量、つまり加速度、荷重、μの変化量により決まります。これが大きいほど早く、大きくスライドすることになります。

もしもこの状態に対処するとすれば、これまで書いた事柄の、「スライド量の減る方向の操作」を行うことになりますが、刻々と変化する状況に対処する必要があるため、感覚&経験による操作が必要ですので、一般道では危険なのでおすすめしません。スクールでの練習(教習所やサーキット等で実施しているところがあります)などで身につけるしかないでしょう。考えていては間に合いません。(それ以上にそのような状況にならないことが一番です。)

 

7.スライド量が急激な変化した場合の補足

スライド量が大きくなった場合については前項と同じことが言えますが、実は急激に小さくなった場合(グリップが復活した場合)も注意が必要です。

急激にタイヤのグリップが回復した場合にどうなるか。バイクの場合は、イメージとしては、「バイクを引き起こすような力」がかかります。

引き起こす力の方向として、前後方向であればよほどのことはない限り前転or転倒につながることは少ないですが、横方向の場合は事情が少々異なり、そのときの重心位置によっては引き起こし力(勝手に命名)を打ち消してくれますが、打ち消せなかった場合には転倒につながる(振り落とされる)ことになるのでので注意が必要です。

こちらも、そのような状況にならないことが一番なのは言うまでもありません。

8.まとめ

以上のような感じで軌道や姿勢が変化するので、イメージとしては、加速や減速で、相対的(感覚的)に、内向きの力がかかったり外向きの力がかかるような動きをするわけですね。

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